普通は「ハレ消費」って言いますよね。
さて、先日、神奈川県販売士協会様にお呼びいただきまして、つたない話ですが講演をさせていただきました。
ちまたの商店街を見るときに、今までと違った視点をもってもらえたらいいなと思いお話しまして。その中で、ハレとケの話をしました。
ハレとケというのは、民俗学からきた用語ですが、昔からイベントやお祝い事にかかわる消費のことを「ハレ消費」と言うことがありました。
だからハレ消費という言葉は、これを読んでいる皆さんも聞いたことがあると思います。
しかし講演でお話したことは、
今の時代、「ケ」消費に強い店は長続きする
……ということでした。ハレよりもケ、なのではないかと。
今日はそんな話をしようと思います。
女性シェフ二人のお店の話
以前、本業で綾瀬市内にある、とあるレストランを取材しました。
女性二人のシェフがやっているお店でした。取材の前に、まずはお味を知ろうと思いランチをいただいたんですね。
女性二人でやっていて、ちょっと洒落た内装の店内なんです。
イタリアンとスペイン料理が得意と聞いていたので、もしかしてメニューがお洒落過ぎて(イタリア語とかスペイン語とかで)読めないかも、と思ってランチメニューを見たんですよ。
それが、全くの杞憂でした。
ランチはマルゲリータやカルボナーラなどの、スタンダードメニューで、悩むことはありませんでした。とても分かりやすくて選びやすい。
実際にお料理をいただいてみると、お味もわりとスタンダード。食べやすくて、それほど凝ったお味ではありませんでした。
わたし「???個性的な味でもない???」
疑問に思ったわたしは、どんなお客様が見えているか聞きました。そうしたら、幅広い世代に方が来ていることに加えて、ご近所の経営者の方や、年配の男性客がけっこう多いと話してくれました。
そしてお料理の味付けについても「自分たちの個性は前面に押し出さず、基本の料理に少しだけ個性を乗せるようにしている」と話してくれたのです。
あっ、なるほど~と、そこで気づきました。
個性的な味でないのは、明確なコンセプトがあって、狙ってやっていることだったんです。
つまり、ご近所の皆さんが毎日食べても飽きないように、スタンダードなお味にしていたのです。(…個性的な味付けは、最初はいいですが毎日食べたら飽きてしまいますからね)
「ケ」はスタンダードであり、来やすい
つまり、彼女たちは自分たちのお店を「ハレ」の時ではなく「ケ」の時に訪れてもらうように、メニューをつくっていたのです。
スタンダードだから、近所のお父さんたちが頻繁に食べにきてくれるんですよ。ケの時=普段のときに、イベントではない時に来て食べていってくれる。
ハレ=イベント、の時に来てくれるお客様も、ケの時に来てくれるお客様も大切ですが、今の時代、とくにケの時に来てくれるお客様が多い店は強いな、と思ったのです。
コロナ禍などがあって、なおさら分かりやすくなったんじゃないかと思います。イベント消費のハレ消費のお客様の足が遠のいてしまっても。普段使いのケ消費のお客様は、来店頻度は下がってもお店のことを心配して、来店してくれる。以前ほどではないけど来てくれる。
そういった話を、よく聞くようになりました。
ハレ消費さんとケ消費さん
下は、講演の時に使ったフリップの一つでして……
ハレ消費さんとケ消費さんを比較した時に、
ハレ消費さんの1回10,000円と、ケ消費さんの週3回で3,000円。
1週間で見たら、それはハレ消費さんの方が金額は大きいです。
でも、ハレ消費の方ってそんなに頻繁には来れません。これが2か月に一度だと考えたらどうでしょう。
2か月に1回20,000円と、週3回来ていた2か月分は24,000円の比較になるわけです。
今の時代、宴会など減っていますし。やはりケの時に、いかにお客様にお店に来てもらうか。そのために「個性」をどのぐらい出していくか。
冒頭でお話した、レストランはその辺をうまーくやっています。
きっと、コロナ禍があってもお店を継続していくことができるでしょう。
高度成長期のころは、右肩上がりなので、ハレの機会も多い。したがってハレ消費が時代に合っていた。
ただし低成長時代に入りますと、右肩下がりの時代になりますから、ハレの機会が減る。したがってケの機会が多くなるので、ケの方が時代に合ってくる。
そんな仮説を持っているのですが、
みなさんはいかが思われるでしょうか?
ケ消費でうまくやっているなというお店は、よく出会っているので、今後もこの話を少しずつ加えていこうと思います。
ということで今日はこのへんで(笑)。
(DMくださったら、そのレストランの名前と場所をお教えします)