新しいまち高輪ゲートウェイでの、日本酒イベント「混祭」に行ったら飛行機を肴に飲めた話

今回は、東京・高輪ゲートウェイで開催された日本酒イベント「混祭」の体験レポートです。イベントは「高輪ゲートウェイシティ」の一部のビルが出来たところで開催されたもので、まだまだ建設途中の巨大ビル群の合間でお酒を飲んできました。初開催とのことで、いろいろ見てきましたし、そもそも高輪ゲートウェイ駅に行ったの初めてでした。お酒の感想などいろいろレポートさせていただきます。

◎「高輪ゲートウェイシティ」と「混祭2025」

3月末にできたばかりの「高輪ゲートウェイシティ」。山手線の新駅、高輪ゲートウェイ駅から直結ということもあり、バリバリ新しい再開発エリアです。とはいえ、現状はまだ全体の半分くらいが工事中。
どうやら、今後は5つのビルが出来て「TAKANAWA GATEWAY CITY」という複合ビルを構成する予定のようですが、今のところ「THE LINKPILLAR 1 NORTH/SOUTH」という双子のビルしか完成していない様子でした。

そんな場所で開催されたのが、日本酒と焼酎の試飲イベント「混祭(こんさい)2025」。

今回が初開催ということで、出店蔵数は日本酒が60蔵、焼酎が14蔵という、数はしっかり揃っています。週末3日間の開催で、わたしは初日の金曜日に参加。前売りチケットはクラウドファンディングのマクアケで購入しておきました。

◎迷いながらも、泉岳寺ルートで会場へ

さて、当日は金曜日。横浜から向かうわたしは高輪ゲートウェイ駅にどう行くか、ちょっと調べてみました。すると意外にも、京急で泉岳寺駅まで行ってそこから歩いた方が早そうなんですよ。

泉岳寺=高輪ゲートウェイ。初めて知りましたね~。JRだと品川で山手線に乗り換えるひと手間が発生しますが、京急なら一本で行けます。

泉岳寺駅から地上に出ると、目の前には巨大な建設現場。なんでも今後は5つのビルができて「TAKANAWA GATEWAY CITY」を形成するとのことですが、現時点で完成しているのは「THE LINKPILLAR 1 NORTH/SOUTH」という双子ビルのみ。残り3棟はまだ建設中。ひと昔前の中国の沿岸都市を思わせるような風景です。

開催場所も公式サイトに「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR 1(1F) 高輪リンクライン」とあって。そもそもどれが建物の名前で、どれが場所の名前なのか分からない(笑)。

泉岳寺から行ったのもいけなかったのですが、駅前の案内板を確認しても、建物が巨大なので本当に場所が分からないんですよ。案内場のスタッフの方に聞いて、ようやくたどり着いたのが、「高輪リンクライン」という細長い広場。ただし会場の真ん中にいきなり入ってしまって、受付の場所が分からないというありさま。うろうろしまくりましたが、なんとか受付を見つけて、イベント参加です。 

◎「KINJO JAPAN F0」とファストパス

わたしが選んだのは、30分早く入場できるファストパス付きのプラン。加えて、試飲用のシール24枚と、「KINJO JAPAN F0」というちょっと良いお値段の酒器がついてきます。

これがなかなかユニークで、透明なシリコンでできた、やわらかいグラスなんですわ。
錦城護謨株式会社という、工業用ゴム製品を手がけている会社が作っているとのことで、透明感がありつつも、強く握るとグニャっとする柔らかいのです。見た目もスタイリッシュで、手に持つとちょっと気分が上がります。

入場時にこの酒器を受け取り、シールをもらっていざ試飲スタート。ファストパスのおかげで、会場はまだそこまで混んでいません。人が少ないうちにサッと見て回れるのは、やっぱりありがたい。とりあえず気になっていた数蔵を目星をつけて、静かに一周してみることにしました。

ちなみに、この「KINJO JAPAN F0」、試飲時に注いでもらうときに蔵元さんから「それ、いいやつですよね」と声をかけられることが何度かあって、フフフとなりましたし。そもそもグラスが大きいので、お酒の量をおまけしてもらえてお得な気分でした。

◎というわけでいろいろ飲んでいきます

最初に飲んだのは「雁木スパークリング」。発泡系の日本酒です。ドライすぎず、かといって甘ったるくもない、バランスの取れた味わいで、初手にぴったり。泡の加減もほどよくて、舌の上でしゅわしゅわと心地よく広がってくれます。イベントの最初の一杯にぴったりな一本でした。

次に訪れたのが「谷泉」の鶴野酒造店のブース。
「谷泉×手取川」の山廃貴醸酒をいただきました。これは、能登地震で被災された鶴野酒造店さんが、石川県内外の酒蔵と協力して生まれた再建への一本。水の代わりに日本酒で仕込むという貴醸酒の製法だけあって、とても甘いです。温度が冷たいこともあって、美味しかったですね「これは好きなやつ」です。デザートワイン的なところがあって、食後酒にも良さそうです。

こういう“ストーリーのあるお酒”に出会えるのも、試飲イベントの魅力ですね。造り手さんといろいろお話を聞きながら、ほろ酔いになっていきます。

◎飛行機と日本酒という不思議な組み合わせ

そして、特筆すべきはそのロケーション。羽田空港が近いので、時おり、飛行機がすぐ頭上を飛んでいきます。これが意外といい演出で、ふと視線を上げたときに、ビルの谷間からぐぐっと機影が現れる。都会の空の下、日本酒を片手に飛行機を肴に一献。なかなかに非日常でした。

ビルの窓ガラスにも飛行機が映ってるんですよ。面白い。

ただしちょっと気になったことも書いておきますね。

今回のイベント、初開催ということで、全体的にこぢんまりしていた印象はありました。混みすぎず、のびのびとお酒を味わえる環境になっていたのはむしろ良かったんですけどね。
ただ、キッチンカーの配置が、少し離れた場所にあって、しかも目立たないせいか、あまりお客さんが流れていっていない様子でした。日本酒を何杯か飲んで、おつまみが欲しいなというタイミングで「あれ、どこにあるんだっけ?」となる感じ。
少し導線がもったいないなあ、と。運営の方も試行錯誤中だと思いますが、次回以降は、もう少し酒蔵さんが増えて、より良い配置になるのではと期待。みなさんの売上も心配ですし……。

◎「手作り感」が残るイベントの魅力

それでも、全体的にはとても好印象。たとえば、同じようなお酒イベントで「CRAFT SAKE WEEK(@六本木)」という大規模なものがありますが、あちらが洗練された“大人の社交場”だとすれば、こちらはまだちょっとだけ余白がある感じ。いい意味で「手作り感」があって、それが居心地よかったです。

出店している酒蔵の方々とも距離が近くて、話しかけやすかったですし。

それに「高輪ゲートウェイシティ」の建設中の姿が、今回のイベントの雰囲気と妙にリンクしていたのも印象的。ピカピカの双子ビルの間で行われる、まだこれから形をつくっていくイベント。完成していない街で、完成していないイベントを楽しむのって、なんかいいよなって思います。

施設は綺麗だし、トイレもピカピカ(笑)。これからあと3棟もビルが建つという話なので、街の完成とともにイベントも大きく育っていくのかもしれません。伸びしろしかない。次回はどんな感じになるのかな~などと想像しながら飲む日本酒は、やっぱり美味しかったです。

また来年、楽しみにしています!

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かながわの商店街に関係するお仕事を20年やってきました。最近はきき酒師の資格を取り、日本酒ばかり飲んでいます。文章書いたりするのが得意ですが、最近は動画撮る方が楽しいです。