「この状況をどうにかしたい」という時は、マイナスを補填するだけでは危険。

日々生活していると、毎日何かしら困ったことがありますよね。家庭の小さなことから、世の中の大きなことまで。
個人でしたら対策を打ちますし、社会問題になるようなことでしたら行政が対策を打ちます。

今や「課題解決」の考え方はよく知られていますから、問題が起きたらどうやってその問題を解決するかということを皆さん本当によく考えられています。
ただし、ですよ。
その課題解決の……マイナスになっているものを埋めて補填しよう、マイナスになっているものを改善していこうという発想だけでは、行き詰まることがあるように思うのです。

今日は、マイナスの補填をするだけだと、ちょっと危険かもしれないよ、とそういう話をします。
先に結論を言ってしまうと、何かの対策を考えるときは、マイナスをなくすか、プラスをつくるかという二極で考えた方がいいということなのです。ただ、世の中では意外に、この2つがセットで語られる機会が少ないような気がするのでちょっと書いてみます。
もしかして当たり前すぎてわざわざ書くようなことでもないのかもしれないですけどね(笑)。

商店街活性化の世界でも、課題解決の手法が全盛でした

実は、わたしの専門の商店街の世界でも、行政が対策を打っていく時は「課題解決」から入るのが主流でした。今までは。

この図は、先日講演させていただいた時に、この20年ぐらいの商店街活性化対策の振り返りをテーマにお話しさせていただいた時のフリップです。
時代の流れと対策の変遷を、規模の大小と考え方の軸でマトリクスにしてみたものです。

左側の「マイナスを埋める」課題解決型の手法のところから説明しましょう。

行政は商店街やその地域の中小商業政策を考えた時に、「商店街に足りないものを補填しよう」という視点に立つことが多かったのです。
だから「空き店舗対策」事業が、大変流行しました。
商店街で空きテナントが出たときに、そこに入居してくれるお店に家賃補助をするような事業ですね。
例えば30万円の家賃と仮定しましょう。そうするとよくあるパターンでは、行政が補助金として10万円を補填してくれたりするのです。新規出店者は家賃20万円で済む。
でもそれは期間限定で、2年など規定の期間が過ぎたら、30万円払わなくてはなりません。その期間だけいることができて、期間が過ぎるとうまくいかなくて退店するという話がよくありました。

典型的なマイナスを埋める型事業です。

元通りにするだけでは、マイナスがゼロに戻っただけ

その商店街にくるお客様と、その入居したお店がマッチしていたのかという問題もありますが、商店街自体の役割が終わりつつある中で、それを「元通りの店舗数」にするだけでは、あまり意味がなかったということでしょうか。

せめて、業種を決めて誘致するようにはいかなかったのか。……ということで、最近は、コンペをしてみたり。業種を指定して誘致する行政も増えてきています。

結局、そういうことなんです。マイナスになっている穴を埋めたとしてもただ平らな地面ができるだけ。
残念ながら、課題解決は目の前の問題をなくすだけで、新しい価値を作るわけではないのです。

プラスをつくるとは、今までなかったコトやモノを積んでいくこと

だから、商店街の世界でも今は「プラスをつくる」方も併せてやっていくようになりました。
でも、マイナスを埋めるよりもプラスを積む方が難しいんですよ。
だってマイナスは「見ればわかる」ので、埋めに行くことができますが、プラスを作ろうとすると、まず積む場所がどこか探さないといけないです。「見てもわからない」のです。

だから「ひとまずやってみる」必要があるのです。

やってみて、ここに積むと良さそうと分かれば積み続ければいいですし。積むのが無理そうであればあきらめて他の場所を探せばいい。

前置き長くなりましたが、そんなわけで商店街の世界ではプラスをつくるために、様々な企画が生み出されて、そして消えていきました(笑)。

例として挙げたのが、わたしが仕事で一生懸命やっている「かながわ商店街観光ツアー」と、六角橋商店街から始まった「商店街プロレス」ですね。
どちらも、何もないところから始まって、それなりに認知されるようになってきています。

プラスを積む時は、試行錯誤の連続で

できることから手早く、つまり、ひとまず始めてみてから軌道修正していく考え方です。
商店街ツアーも最初の頃は全く人が集まりませんで、苦労しました。が、今は商店街ツアーのファンになってくださった方々がいて。商店街を回るのが面白いからと毎回参加してくださいます。ありがたいことです。

ここではこうして少しずつ、新しい価値を生み出しプラスを積むことができているのかなあと思っています。

結局のところ、やってみないと=積んでみないと、うまくいくのかいかないのかわからないんですよね。
自分から見ても、傍から見ても。
何か新しいことを始めて、仲間を増やしていくにしても。「やってみた」実績のようなものが積まれていないと、見て分かんないわけです。

モグラ叩きでは、人生消耗するだけだ

話ずれてきたので戻しますね。

つまり結論です。マイナスになっているところを補填しよう、弱点を補強しよう、問題になっていることを解決しようという思考ばかりに囚われると、たぶんそれだけに追われて終わってしまうのではないかという話です。
終わってしまうって何が?
人生が、ですよ(笑)

たぶんモグラ叩きにハマるようなもので。
モグラ叩いて叩いて叩きまくって、ゼェゼェして消耗して。
あれっ、いつの間にか残り時間があとわずか。
やりたいことやりたいのに体力や精神力がもう無い、みたいなことになるかもしれない。

だから、モグラたたきはそこそこで切り上げて。
何か問題解決以外のことをした方がいい。無駄なことに思えることでも、好きなことであれば何か伸ばせるものがあるかもしれない。
ステージを変えてみることで、新しい何かが生まれるかもしれない。

そしてきっとそれって、たぶんワクワクすることだと思うのです。
「やってみる」って本当に大事。

ABOUTこの記事をかいた人

かながわの商店街に関係するお仕事を20年やってきました。最近はきき酒師の資格を取り、日本酒ばかり飲んでいます。文章書いたりするのが得意ですが、最近は動画撮る方が楽しいです。