わたし、レコメンドってあんまり好きじゃないんですよ。
レコメンドってアレです。Amazonを見てて「あなたへのおすすめタイトル」って、関連商品を勧めてくるサービスありますよね。アレのことです。
レコメンド【recommend】 の解説
[名](スル)《「リコメンド」とも》1 勧めること。推薦すること。「CDをレコメンドする」
goo辞書より引用
2 オンラインショップなどで、利用者の好みにあった物品やサービスを推薦する手法。利用者の購入履歴やアンケート、好みが似た他の利用者の情報を分析し、適切な物品やサービスを絞り込んで推薦することにより、売り上げを高めるのがねらい。レコメンデーション。
基本的には、オススメされたくない派のわたしですが、
でも、よくよく思い返してみると、オススメされたくないのは「自分がこだわってること」に関してのみ、なんですよね。
こだわってないこと、自分で選ぼうと固執してないことについては、オススメされるのは逆にありがたいです。
例えば、風呂掃除用の洗剤とか。こすらなくてもいい洗剤とか、けっこう前に話題になりましたけど、ああいうのをオススメしてもらえたらありがたいですよね。
こだわらない商品は選んでもらえた方がありがたい?
日々、生活するのに必要な商品……洗剤とか、牛乳とか卵とか、トイレットペーパーとか。そういったものを切らしそうになったときに「そろそろ無くなりますよ」と教えてもらったり。
「そろそろ無くなりそうだから、買っておきましたデデン!」とか買い物を代行してくれるサービスがあったら、確かにありがたいだろうし。使ってしまうかもしれません。
Amazonをはじめ、ネット通販の世界はどんどん買い物の手間をはぶく方向に動いています。クレカなど設定しておけば、一発ボタンで商品が買えたり。決めておいた商品ならほんとにボタン押したら注文できるサービスもありますよね。
つまるところ、「買い物が面倒だ」というお客様ニーズに応えているということですよね。
リアルな商店街や商店を支援する立場のわたしからすると、それはかなりNGに聞こえるニーズなのですが(笑)、しかし、ですよ。
確かに「買い物」という行為を最初から最後まで追ってみると、省略されうる側面は多々あって。
お客が面倒に感じる部分も多々あることに気づきました。
以下の本を読んだからです。
衝撃的なタイトルの本ですね。昨年2019年の11月に出た本で、約1年前の話題になります。
けっこう「あり得るな」と思えることが書いてありましたので、なかなか良かったです。
「選ぶのが面倒」な人たちはAIを信じ始めた
~彼ら(もはや「私たち」と言ってもいいかもしれない)が信頼を寄せる情報源は2つある。“AI”と“口コミ”である。
まずは、「選ぶことをやめた人たち」が、なぜ”AI”に信頼を寄せるのかから説明しよう。
AI化が進んでも、「商品を選ぶ」というプロセスは人間に残るのではないのか。そう思っている人も少なくないだろう。「機械が選ぶものは、ろくなもんじゃない」という声も依然としてあるはずだ。私たちはまだ、機械を全面的に信用しているわけではない。
しかし、実際のところ、今の時点では「商品を選ばなくなった」という人はとても増えているのだ。
皆さんもネットで買い物をするときに、自分で検索したわけではないのに、「あなたにおすすめの商品」といった形で商品紹介をされたことがあるだろう。これはAIが、その人の検索履歴や閲覧履歴、購買履歴などから紐づけて、「あなたにマッチしているのはコレとコレとコレですよ」、数多ある商品の中から絞ってレコメンド(推薦)しているわけだ
~中略~
私たちは膨大な商品ラインナップから選ぶ必要はない。機械が勝手に選んできたものを見て、「可否を判断する」だけの部分も大きいのである。
選択肢は多いことは、良いことではない
人間って選択肢が多いとストレスを感じるらしいのです。
何かの本で読んだ話ですが、ものを選ぶにしても人生の岐路を選ぶにしても、選択肢が多いとその中からいくつかを選びだす行為が発生しますよね。
複数の条件を比べたり、確認して選定してその結果に責任を持つストレスと。それから選ばなかった選択肢を惜しむ気持ちと。
選択肢の多さは実は満足度に結びつかないということが知られています。
現代日本は、モノがあふれかえっている時代ですから、
様々なお買い物も、膨大な選択肢の中から選びださねばならないわけで。それをストレスに感じるのは人間の性質のようなものではないでしょうか。
サクッと選んでもらえるなら、その方がよい。
あらかじめ、2~3に絞り込んでもらえるなら、ありがたい。
そう思うのは、人間なら当然のことかもしれません。
買い物の場は、リアル店舗から手元のスマホへ
本の内容としては、そうした「AIによるレコメンドが一般化していく流れ」から、買い物の手間をはぶかれていくトレンドが発生していること。そしてリアル店舗の商品棚から、各人のスマホ画面の中へ買い物の棚が移ってきていることが述べられています。
つまり、買い物の場がリアル店舗から手元に移っていることを看破しているのです。
帯にある「デジタルシェルフ」というのは、手元にきた商品棚のことを指しています。各人のスマホの手の中の、デジタルな棚です。メーカーなど、ものを販売する企業は、この「デジタルシェルフ」に着眼し始めているという話です。
なるほど、うなづける話です。
わたし自身、楽天やAmazonで買い物しますし。パソコンだろうが、手元のスマホだろうがあまり区別しません。その時使えるツールを使って、一番楽に買い物できる手段を選びます。
今の2020年には、あまりピンとこない部分もある話ですが、本のタイトル通り2025年…あと5年したら、かなりピンとくる話になるんじゃないかなと、わたしは思いました。
えーっ、じゃあ街の小売店はどうなるのさ
面白い本でしたので、ぜひ読んでみてはと思うのですが、
リアル店舗……いわゆる街の小売店がどうなるのかという話も語られています。
キーワードは体験、ですね。
どうやってもEC(電子商取引)の世界で表現できないのが、リアル体験だからです。
「体験型」の店舗が生き残る時代へ
では、「新たな役割を見つけて生き残る店舗」は、いったいどのようなものなのか?
それは、ひと言で言えば、「体験型の店舗」である。
~中略~
たとえば、ネットで評判のカレー屋があるとする。しかし、実際にはその店に行かないと、「食べるという体験」はできない。焼きたてのパンを食べられるのも、パン屋だけだ。ネットで注文できるカレーやパンは、レトルトのものや冷凍のものに限られる。一番おいしいできたてのものを食べることは、実際に行くことでしか体験できないのだ。
飲食店が分かりやすい例として挙げられていますが、
小売店にしても「わざわざ行く価値がある」お店が生き残ると著者は言っています。
そこはやはり普遍的なところかもしれませんね。専門知識がある店主がいろいろ教えてくれるとか。単純に同じファンとして店主と話していると楽しい、とかですかね。
自分がお客だったら「わざわざ行く価値があるお店」とは何だろうか。
そんな風に想像してみて、新しい価値のあるお店を目指してみるのも悪くないのではないかと思います。
おまけとして、衝撃的な話題をひとつ。
あまり小売業と関係ない話なのですが、ひとつだけ。
こちらの本に書かれていた衝撃的なエピソードを。
Netflixという、動画配信の大手がありますね。
最近はオリジナル作品なども作っているのですが。
こちらの会社、ユーザーのデータ解析をしまくって、それをオリジナル作品の制作に反映させているのだそうです。
つまり、オリジナル作品の監督や俳優は、「今が旬だから」といった理由で選ばれているのではない。緻密なデータ解析に基づいて、「このジャンルで確実に好むユーザーがあるから」という理由で選ばれているのである。
制作側の監督や脚本家が「自分がこれがいいと思ったから、こうした」「自分が読みたい話を書いたらこうなった」っていうのが廃されているわけですよね。
すごく底知れない恐ろしさを感じます。
ただ、ただ、データで「これこれこういう属性に、ファンが一定数いるからこうした」ってだけで作品が作られるって、なんかどうなんでしょう…。
恐ろしさとともに、なんだか自分が時代に取り残されていくような、寂しさをも感じてしまいました。
みなさんはいかがでしょうか。
こだわりがないことでしたら、AIに選んでもらった方が楽?
ああーそうかもしれませんね(笑)。