日経MJを読んでいるのですが、新製品情報がよく載っていて。毎回楽しみに読んでいます。
そこで、ある日「日本酒のお好みをAIが判定してくれて、お好みを探せる」というサービスについての記事を見たのです。
こちらですね。
日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000051694.html
こういうの大好き、すぐ試したくなる。さっそく調べて行ってみた
こういう記事を見るとすぐ「人間が気づかないものとか、見えない法則的なものをAIが見つけ出して教えてくれるんじゃないか」みたいに思ってしまうのです。(これを読んでいるみなさんはそう思いませんか(笑)?)
AIっていうからには、うまいこと都合よく考えて答えを出してくれるんじゃないかとか。
実際どうなんでしょうね……?
というわけで、気になるので足を運べる場所でやっていないか探してみました。
現時点では横浜高島屋か、銀座の「酒の穴」というお店なら近くなので行けそうです。そんなわけで行ってみたのは後者の「酒の穴」さんでした。
実際に「日本酒AI」を使ってオーダーしてみました
結果的にオーダーしたのは青森の「田酒 特別純米酒」でした。アルコール度16度、精米歩合が55%の、よく飲まれているスタンダードな「田酒」です。
例の 日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」 はタブレットで見るスタイルでした。カウンターに据え置かれているわけではないので、オーダーの際に「あのー日本酒AIのやつ、見たいんですけど」と恐る恐る聞いたところ、ああと店員さんが出してきてくれました。
オーダーする時はこの画面ではなくて、「あたたかみ」とか「すずしげ」とかのキーワードが書いてある画面が出てきまして、単語・言葉から検索できるようになっています。
それぞれの単語を選ぶと、その単語にマッチしているとAIが判断したお酒がリストに出てくるというわけです。
例えば、お客さんが来店してこのタブレットでお酒を選ぶとして、「今日はあたたかみがあるお酒を飲みたいなあ~」と、あたたかみのキーワードを選ぶと、他のお酒とともに「田酒」が候補に挙げられてくるというわけです。
写真を見ていただくと「田酒」は「あたたかみ」のキーワードが「すずしげ」や「ふくよか」よりもマッチしていて丸が大きいのが分かります。その3つのキーワードの中なら「あたたかみ」が一番該当していると、AIが判断しているわけです。
だから「あたたかみ」で検索すると、すぐに見つけることができ、「ふくよか」では見つからない、という仕組みになっています。
わたしみたいな日本酒好きで、きき酒師もってるような人は自分からコレと選んじゃうのですけども、この 日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」 はあくまで日本酒にあまり詳しくない方に向けて、感覚から日本酒を選べますよ、という仕組みになっているわけです。
これって人気投票と同じでは??
でも、ですよ。
オーダー後に自分でキーワードを選ぶ画面になるわけです。(上記写真)
それで「あたたかみ」とか、3つぐらい単語を選んであげるわけなんですが、単に元々設定してある単語を選ぶだけ。
なんか画面に「早朝の緑色シャワー」とか「風で飛んでいく麦わら帽子」とかエモい感じのキーワード表示されているじゃないですか。こういうキーワードを入力できるのかなと思っていたら違った。もともと入っている「あたたかみ」とか「白桃」とかのキーワードを選ぶだけ。
うーん、これって単に人気投票なのでは(笑)?
新井紀子さんも「AIに善悪は決められない」というような主旨のことを言っていた
そういえば、と話題になったこちらの本の内容を思い出しました。
この中で、うろおぼえで恐縮ですが著者の新井さんは「AIは良し悪しを決められない」というようなことをおっしゃっていたかと思うのです。
まったく関係がないと思われた要素Aと要素Bの関連性を読み解いたりするのはAIは得意だけれども、要素Aと要素Bが結びつく意味はAIには分からないわけです。
これは例え話で説明しましょう。
「ひまわり」と「麦わら帽子」に関連性があるとAIは分かるわけですけども、その意味は(事前に入力されていなければ)AIには分からないのです。
人間は「ひまわり」と「麦わら帽子」ときたら「夏」だなとか、暑いねえとかイメージ沸くかと思うんですけども、そういう意味を答えとして導きたいのであれば、あらかじめAIにその意味を与えておかねばならないわけです。
要素Aと要素Bが組み合わさる意味は○○ですよ、とAIに意味を入れておかねば、AIは意味を導き出すことはできないわけです。
と、考えると、上記日本酒ソムリエAIも、まだまだ実験段階なのだなあと分かります。
今は膨大なデータを入れ込んでいる最中なのでしょう。データの量が集まった段階で、お酒のメーカーや飲食店の店主などの“デザイナー”が、そのデータの集まりに意味を与えていくのでしょう。
そうすることで、本当に機能するソムリエAIができるんだろうなあと思いました。
というわけで田酒は美味しかったです。
日本酒ソムリエAIは、実験段階のもので使用感は正直今ひとつだったのですが(笑)、また期待して今後を待ちたいと思います。
あと日本酒関係のAI話題で言うと、実際に10種類ぐらいの日本酒をテイスティングさせてくれて、自分で判定をすると、そこからマッチしている日本酒を出してくれるというサービスもあります。
「未来日本酒店」がやってる「YUMMY SAKE」というやつなんですけども。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000033574.html
こちらも以前体験しているので、また機会があったらブログに書きたいと思います。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。